野良猫の中には「さくら耳」というさくらの花びらのようなカットを耳に入れた猫がいます。
この傷は人工的に付けられたもので、「地域猫」の証でもあります。地域で飼われている猫なので人慣れはしていますが、外で暮らしているため自宅敷地内に入られると騒音や糞尿被害の元になります。
今回は、地域猫の詳細や迷惑なのか、不幸な野良猫を減らすという目的の逆効果ではないのか、地域猫の被害や対策を紹介していきます。
地域猫とは
地域猫とは、野良猫でありながらもその地域の住民に世話をされている個体もしくはその取り組みのことです。
世話をされているとはいえ家で飼われている飼い猫とは違い、基本的にはその地域周辺で暮らしています。住民が一定のルールや規則・認知や理解の元世話をしています。
例えば、決められた範囲の地域猫への餌やり・町の清掃・トイレの管理・猫の去勢手術に関する活動が、地域猫活動の一環です(ちなみに、猫を傷つけず捕獲して虚勢をして元の場所に戻す活動をTNR活動といいます)。
活動に猫の去勢手術があるように、地域猫は基本的には去勢されている個体です。地域猫の耳を見るとさくら型にカットが施されていることが多いですが、このカットが去勢された個体の証明です。
地域で飼われているだけあって愛嬌がある猫が多く、人を見たら逃げる野良猫よりはかわいげがあると考えて構いません。
地域猫活動は迷惑?逆効果?などの批判について
地域猫活動は一見すると野良猫を守っているいい活動のようにも聞こえますが、活動そのものへの批判もあります。
どのような批判があるのか、地域猫は迷惑・逆効果と言われる理由はなにかを紹介していきます。
地域猫の糞尿被害・騒音被害
地域猫が迷惑・逆効果と言われる一番の理由が、地域猫がもたらす様々な被害です。
主に猫の鳴き声などの騒音や、猫が庭や車庫などの自宅敷地内に糞尿を撒き散らす被害が考えられますが、地域猫が増えた場合、これらの被害がより顕著に出やすいです。
確かに、地域猫はある一定のルールのもの飼われてはいますが、所詮は野良猫。野生の生活に慣れているため家の庭にも入り込みますし、喧嘩など大きな鳴き声を出すこともあります。
地域猫活動をしている人たちも町の清掃に取り組んでいる場合もあります。しかし、地域猫があまりにも多い場合は清掃が追い付かない傾向にもあります。そもそも、自宅敷地内の被害は他人である地域猫活動をしている人でも対処が難しいです。
もし地域猫が増えてしまった場合は、今よりも地域猫(野良猫)が敷地内に入り込むことが多くなり、結果的に迷惑を被る・逆効果との意見もありました。
ただし、地域猫活動をする人も上記は承知の上であることが多く、そもそも地域猫が人の庭で糞尿をしないよう、猫のトイレ管理なども活動に取り入れていることもあります。
不幸な野良猫をなくす根本的な問題解決になっていない
地域猫活動は元々「不幸な野良猫をなくす・減らす」「今以上に増やさない」をスローガンに掲げています。言わば「目的・目標」だと考えてください。
猫の去勢も地域猫活動の一環で、この部分は不幸な野良猫を今以上に増やさない目標遂行にはなっています。
しかし、人慣れしないような野良猫は地域猫のように去勢されていません。これらの地域猫になりそびれた猫が結局繁殖して、猫の数が減らないとの意見もあります。
去勢をしても結局は地域猫としてその地域を縄張りとして生息し続けるため、野良猫(地域猫)の騒音被害・糞尿被害は今すぐになくなるものでもありません。
特に地域猫活動では地域猫への餌やりもルールの範囲とはいえ行われるため、地域猫が餌目当てでそこを生態圏とする可能性が高くなります。ここに猫(地域猫)が密集すれば、野良猫の数は減らず地域猫の被害が拡大するのは想像に難しくありません。
トラブルの元にもなる
地域猫が元でトラブルになったケースも実際にあります。
2017年ごろ、京都地裁で裁判になったケースですが、地域猫活動をしていた人(原告、この人らが訴えを起こしました)と餌やりを注意した人(被告)とで争っています。
この裁判の争点は「餌やりをした人の言動」で、この言動が仇となり餌やりを注意した人が敗訴。賠償命令が下されました。
ただ、この餌やりを注意した人は言動が荒かったとはいえ、地域猫活動に理解を示さなかっただけです。地域猫活動に疑問を感じている人でも、少し感情的になっただけでこのようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
地域猫が迷惑という声だけでなく、地域猫活動をしている人への理解を示すのが難しいとの意見も実際には出ています。
野良猫を増やさない具体的な方法が他にもある
地域猫は不幸な野良猫をこれ以上増やさないため、餌やり・世話・トイレ管理・去勢などの活動を行っています。
しかし、上記の活動よりも確実に野良猫を増やさない方法は存在します。
野良猫を増やさない方法として一番理想的なのが「各自治体が野良猫の受け取りを拒否しないこと」です。
例えば、保健所や動物愛護センターに野良猫を持ち込んで、野良猫として引き取りを行い、適正に処分を行うシステムを確立させることで、長い目で見れば野良猫は減少する可能性が高いです。
しかし、「殺処分を減らす」「猫が生態系に影響を与えているとは言い切れない」「野良猫ではなく飼い猫かもしれない」等と、保健所などは2024年現在、野良猫の引き取りを拒否する傾向にあります。詳しくは下記を参考にしてください。
要するに、本来野良猫の引き取りを行える場所だった保健所などが猫の引き取りに関しては機能していないせいで、野良猫を減らす最善策が取れない状況にあると考えてください。
だからといって「不幸な野良猫を減らす地域猫活動を応援しよう」とはならず、現状維持で地域に野良猫が住み着いているため、結局地域猫の被害を迷惑だと感じている人は間違いなく存在します。
地域猫が迷惑・逆効果だと考える人が取る地域猫への対処法
地域猫が迷惑・逆効果だと考えている人が取る地域猫への対策も紹介します。
地域猫が自宅敷地内に入れないようにする
地域猫が自宅敷地内に入らないようにするのは必須です。
野良猫と違って餌をたくさん貰える環境にある地域猫は庭を荒らす可能性も野良猫よりは低いですし、屋根裏に入り込んでも餌の貰える環境の方がいいと考えてすぐに出ていきます。
しかし、一時的にも庭などに入られて糞尿被害があるようなら、こちらも対処をする必要があります。
一番おすすめの対処法は、猫よけグッズの活用です。
個体によって効果に差があるものの、猫が嫌いな音や匂いを自宅周辺に出して猫を近寄らせなくします。その他、猫を物理的に近寄れなくする猫よけグッズもあります。
特におすすめの猫よけグッズが「超音波タイプの猫よけグッズ」です。人間よりも3倍の聴覚を持つ猫にとって嫌な音は天敵で、猫よけグッズの中でも特に効果が高いと研究データにより公表されています。
超音波タイプの猫よけグッズの詳細や商品については下記を参考にしてください。
地域猫に餌をやらない
もし地域猫を避けるつもりなら、地域猫への餌やりはご法度です。
地域猫も人間の中で「人の中で餌をくれる人」「餌をくれない人」等を見分けています。餌をくれる人には懐きます。その分、地域猫が自分に付いてくる可能性もあります。
自宅を特定されれば餌をねだりに庭などに侵入する可能性があり、万が一自宅で餌をあげるとまず餌のために庭に侵入するようになります。
他にも、地域猫活動をしている人とのトラブルにも発展するかもしれません。餌やりに関してはルール・規律を守っているため、勝手な餌やりに過剰に反応される可能性もあり得ます。
車に被害がある場合はシートをかける等の工夫も必要
地域猫に限らず野良猫が車上に上がる主な理由は、車が暖かいからです。
エンジンをかけてすぐの車はある程度温度があるため、寒さを凌ぐにはちょうどいい程度の居心地がいい場所へと変わります。
シート等を被せておけば、ボンネットやルーフ(屋根の部分)に上がられたとしても、糞尿や猫の爪による被害を防げます。
地域猫の捕獲はNG
地域猫が庭や車を荒らしても地域猫を世話している団体は責任を問わない可能性があるにも関わらず、地域猫を捕獲すると、鳥獣保護管理法などに問われることがあります。
いくら地域猫が迷惑で逆効果だと考えていても、捕獲して違う場所に移す・保健所へ連れて行くのはリスクが高いです。
もし捕獲するとしたら、地域猫以外の野良猫を捕獲して保護するのをおすすめします。飼い主としての責任もついてきますが、ペットとして迎え入れる気があるなら猫の捕獲器購入も検討してください。
猫の捕獲器に関しては下記を参考にしてください。
まとめ
今回は、地域猫が迷惑・逆効果と言われる理由や、地域猫の被害・対処法を紹介しました。
地域猫の被害も他人事ではなく、近辺に地域猫や野良猫が多い場合は、糞尿・騒音の被害の発生もあり得ます。
猫が自宅近辺に近寄らない工夫が何よりも大切で、猫よけグッズの活用や知識も考えておくのをおすすめします。