家の近くで明らかに子猫であろう鳴き声が聞こえてきた経験はありませんか?もしかしたら、子猫が親猫とはぐれて助けを呼んでいるのかもしれません。
その子猫を保護しようと探しても、大抵の場合は見つけ出すのに苦労します。野良猫は外敵から身を守るため、親猫が子猫を隠す習性があるからです。
今回は、野良猫・子猫を保護しようと考えている人のために、野良猫の赤ちゃんはどこにいるのか、親猫の習性や子猫の隠し場所・出産場所などを解説していきます。
野良猫の赤ちゃんや子猫はどこにいる?
野良猫の赤ちゃん(子猫)はどこにいるのか、どこに身を隠しているのかを紹介します。
ここで言う野良猫の赤ちゃんは、本当に産まれたばかりの赤ちゃん子猫から、生後2~3ヶ月くらいまでの親猫との行動が必須な時期までを指しています。
野良猫は春から初夏にかけて子猫を生む習性あり
野良猫は春から初夏にかけて出産・繁殖をする傾向にあります。
子猫は体温調整が難しいため、寒さに弱く生存率が下がり凍死リスクが高いです。親猫のそれを知っているため、春から初夏の「暖かい時期」を子猫出産時期に選んでいます。
また、冬は野良猫以外にも様々な生き物が外に出なくなるため、仮に冬に出産した場合、野良猫としては子猫の餌を探すのが困難になり得ます。しかし、春から初夏だと猫の餌となり得る生き物も豊富で、親猫も必要な餌・栄養を子猫に摂取させてあげられます。
赤ちゃん子猫を育てやすい環境にあるため、野良猫は春から初夏に子猫を出産しています。具体的に言えば「3月から5月にかけて」が一番多いです。
ただし、人里の猫(地域猫など)は人から餌を貰ったり人の手で寒さを凌げる可能性などがあるため、親猫が「子猫も生きていける」と判断して、様々な季節で子猫を生む可能性があります。
野良猫が冬に住処としている場所に関しては下記を参考にしてください。
野良猫は人目につかない場所で赤ちゃんを産んだり子猫を育てる傾向あり
野良猫が「出産に適している」と考える主な場所は「外敵から身を守れて周囲に餌があり寒さも凌げる場所」です。
例えば、家屋の屋根裏や床下、倉庫といった人の住処から、木の下・使われていない他の害獣たちの巣窟・長い茂みの中に子猫を出産する可能性が高いです。
出来る限り静かな場所を選び、外敵(イタチやカラス・その他の害獣)や人間からのストレスなく出産・子育てを行います。町中で子猫をなかなか見つけられない主な理由になっています。
子猫が生後3ヶ月ごろになると徐々に親離れしていくため、人前や町中に姿を現す可能性が高くなります。
野良猫が子猫を隠す場合も人目につかない場所
例えば、親猫が「この場所は危険だ」と判断した場合や餌を探すためなど一時的に子猫から離れる際、子猫を隠す習性があります。
主に他の害獣などの外敵に見つからないようにするためで、当然、少し探した程度では見つかりません。主に溝の下・草むら・物置や物陰に子猫を隠します。
ただし、長時間親猫が返ってこない場合、子猫は助けを求めるためにニャーニャーと大きくて高い鳴き声を出す場合があります。結構な広範囲で鳴き声が響くため、それを聴いた親猫が戻ってくることが多いです。
親猫が返ってこない場合は鳴き声で居場所が暴かれてしまい他の害獣の餌になりがちですが、人間が先に子猫を見つければ、他の害獣に襲われることなく保護に成功します。
子猫を保護しようとしたら間違いなく暴れるので注意
子猫の鳴き声などを元に子猫を探し出して保護しようとしても、ほぼ100%の確率で子猫は逃げると考えてください(子猫が目の前にいる場合は子猫が恐怖で固まって動かない場合もあります)。
子猫の死角などから子猫を捕まえたとしても、まず間違いなく子猫は暴れますし、より大きな声で親猫に助けを求めるために鳴き喚きます。
ニャーニャーと泣き叫ぶ子猫を持ったまま行動するとあらぬ疑いをかけられる可能性もあるので、子猫がいて保護しようとそのまま掴んで持ち帰るのはおすすめしません。
直接子猫を捕まえるよりも、子猫がいるであろう場所に捕獲器を仕掛けた方が得策です。ただし、自身が私有している土地以外に捕獲器を仕掛けると違法となる場合もあります。
野良猫の赤ちゃんや子猫を見つけたらどうすればいいのか
野良猫の子猫や赤ちゃんを見つけやすい時期は春から初夏にかけて。普段人前に出ないとはいえ何かの拍子で子猫・赤ちゃんを見つけることは多々あります。
親猫がいないであろう子猫を見つけたらどうすればいいのかも紹介します。
また、見つけた野良猫の子猫や赤ちゃんを保護したいと考えている場合は、必要なものや子猫との接し方を知っておく必要があります。下記を参考にしてください。
自分で保護する・飼う場合は動物病院へ連れて行く
野良猫の子猫・赤ちゃんを保護する場合は、まずは動物病院へ連れて行きます。
保護してすぐ動物病院に連れて行くよりも少し間を開けて威嚇されない程度まで子猫を安心させて動物病院へ連れて行った方が子猫のストレスになりません。ただし、明らかに弱っている場合は早急に動物病院へ連れて行きましょう(弱っていなくても動物病院への受診は早い方がいいです)。
注意しておきたいのは、子猫受診にかかる費用は自費であることとです。初受診の場合はおおよそ3,000円ですが、健康診断や各種予防まで考えると3万円程度はかかります。
また、子猫を素手で触った場合、ダニやノミが自身に付着してしまう可能性があるため、できる限りタオルなどで包むように子猫に触れた方がいいです。
迷子の子猫は保護団体に連絡
もし、保護した子猫に首輪などが付いていた場合、その子猫は野良猫ではなく誰かのペットの可能性が極めて高いです。
飼い主の所有物として扱われるため、その子猫を飼うにはリスクが高いです。お住いの近くを拠点としている保護団体への連絡が必要です。
近くに保護団体がない場合は、警察に届けを出しても構いません。
保健所だと子猫を引き取ってもらえない可能性がある
保健所に子猫を連れて行った場合、引き取ってもらえない可能性があります。
前二項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。この場合において、第一項ただし書中「犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして」とあるのは、「周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合その他の」と読み替えるものとする。
引用:動物の愛護及び管理に関する法律
上記法令が2019年に改定された動物愛護管理法で、「生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがない」と判断すると、保健所が猫の引き取りを拒否できる旨が記載されています。
子猫の場合だと1匹では生きていけないため、保護団体と連携した上で引き取りを行う保健所もあるかもしれませんが、保健所へ連れて行く場合は引き取ってもらえるかの連絡は必須です。
野良猫を保健所が引き取らない理由などは下記を参考にしてください。
子猫の扱いは厳重に行うこと!
子猫は非常にデリケートで、特に野良猫の場合だと恐怖心から人間相手にも威嚇したり鳴き叫んだりします。
そのため、捕獲器などで捕まえてすぐに開放するのは得策ではありません。捕獲器から逃げ出して家中に隠れてしまう恐れがあるからです。
無理に子猫を隠れ場所から引き出そうとすると当然暴れますし、中には多大なるストレスを感じる個体もいます。例えば、優しく子猫を掴んだつもりでも、糞尿を垂らした上でそのまま虹の橋を渡るケースも見つかっています。
シャワーして体を洗ってあげるのにも注意が必要で、シャワーのお湯を直接当てるのではなく、風呂桶などで水を汲んだ後、子猫を手で洗うようにしてください。
まとめ
今回は、野良猫の赤ちゃん・子猫がどこにいるのかを紹介しました。
子猫と思われる鳴き声が継続して聞こえた場合、親猫とはぐれてしまった可能性が高いです。そうなると子猫は生きていくことができません。保護しても問題はないと考えてください。
逆に親猫が近くにいる場合は保護は厳禁で、子猫にとってストレスを感じさせません。子猫・親猫共に弱っている場合はどちらも保護した方がいいです。